これが僕のHIVとの生き方

2013年8月にエイズを発症したHIV患者の闘病記です。日々の生活と素直な気持ちを綴っています。

2014年07月

したい事、できる事、すべき事

"明日はドライブをすべきだ"



昼間に仕事をしながら
明日の休みの過ごし方を考えた。

僕のデスクのライトには
ポストイットを貼っている。
仕事とプライベート問わず
すべき内容を隠語を交えて書いている。

いつ何時でもちらちらと目に入る。
それを見ていると
明日は何がしたくて
何ができて、何をすべき
なのか考えた。

ドライブという名の
“時間計測”をすべきではないか。



転院が目先の問題である。
まだ先だと気分を先延ばしにしたところで
一日を確実に過ごしているうちに
すぐ目先の問題になってしまった。

どれだけ時間がかかり
どういう手段で病院まで通うか。
どこの場所にあるのか。

具体的なものを僕は知らないし
全く見ようとはしていなかった。

転院が実は怖い。
今手元にあるものが
なくなってしまうような感覚がある。
自分が独りだと嫌ほど実感させられ
耐えられなくなり崩壊する恐怖がある。

恐怖心から転院の問題を
現実の問題とはせずに
仮想の問題として扱ってきた。

そんな自分の中の仮想も
いよいよ仮想のままでは
いられなくなった。



"したい”、”できる、”すべき”

どれをとっても
時間計測にいきつくからには
僕は明日必ずドライブをするのだ。

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家を出る想像と治療の現実

“引っ越し”を考えている。

とはいえ具体的に
“いつ”、”どこ”にと現実的に
考えてはまだいない。
想像でふわりと考えているだけだ。

タイミングがあってチャンスがあれば
家を出ても良いかもしれない。



インターネットで物件を見ている。
田舎の物件は掘り出し物件が多い。

職場を中心として
通える半径で探してみる。

とりあえずの物件も良いが
田舎なりの物件を探すのは楽しい。

一件の物件が目を引いた。
”温泉地”の物件であった。

恐らくラブホを改装した物件であろう。
それ故、1Rながら広く
家賃も安く、駐車場がついている。
それであって1棟という造りだ。
内装もリフォームしたばかりで
画像でみる限り綺麗であった。
魅力的な物件だ。

温泉地でゆっくりと療養するのも良い。
一人の生活をゆっくりと僕は考えていた。


“はたして転院先に通院が可能か?"


一つの疑問が頭によぎった。
恐らく不可能だ。
片道二時間をかけて週に一度
具合悪い最中に運転はできない。

田舎でのHIV患者数は驚く程少ない。
患者数が少ないというのは
医療は受けられても
十分な治療を受けられない。

HIVの生活レベルの問題が発生しても
患者本人の問題であり
病院が介入するものではないと
大きく突き放されるのだ。

身をもって知っている。

だからこそ
”自分がどこでどういう治療をするか"
どう納得して医療を受けるか。
これからの治療も考えながら
仕事と一人の生活を現実化すべきだ。



交わるもの
交わらないもの

交わらないものは
永遠に交わらないの
かもしれない。

どちらが悪い
というものではない。

家族を優先する生き方。
治療を優先する生き方。
お互いの独自の立場での考え方がある。

兄と僕。

交えるべきだと判断し
交えよう交えようと考えていた。
自分が無理をしたとしても。

お互いが一人の大人になった今では
交わらないものは交わらない。
それが現実だ。

家族を優先する為に
”兄は僕に出て行ってもらう”
治療を優先する為に
”僕は家を出て行く”

今までこの考え方を否定していた。
しかし否定する必要が
どこにあるのだろうか。

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"表情をなくし口をつぐむ”選択

"口をつぐむ”選択。
”人と距離を取る”選択。
“心を閉ざす”選択。

嫌悪に襲われては
口からその一部が出る。
そんな自分に益々嫌気がさす。

その結果、口を閉ざす。
嫌な言葉を口から出すぐらいなら
口を閉じて距離をとった方が
良いのではないか。

日々口が重くなる。
人との接し方を忘れそうだ。



最近嫌悪に襲われる。
何が原因でもないのだが
ただひたすら嫌悪に襲われて
不安になったり心配になったり
イライラとしてしまう。

昨日感情が溢れてしまい
母に汚い言葉をかけてしまった。
今日も。

家族といえども言うべき内容は言う。
という表向きの理由なのかもしれない。
些細だと考えれば些細だし
言わなくても良いと考えれば
不必要な内容であったかもしれない。

自己都合の感情が溢れそうだからこそ
僕は口をつぐんでいた。
距離もとっていたし
顔も合わせないようにしていた。

それなのに感情が溢れてしまった。

高ぶった感情は冷静さを欠く。
感情がおさまり
自分自身を客観的に見つめると
僕は僕が嫌になる。

もっと自分のいい分を伝える
言い方があったはずだからだ。



どんなに意義のある主張があっても
汚い言葉は汚いに過ぎない。

後で自分に後悔する程の
配慮の欠く言動をするぐらいなら
頑に口をつぐむのが
それもそれで配慮ではないか。

感情を掴めない。
しっかりと掴めている時の反動で
どうしても掴めない時がある。

悪い感情が雨のように振ってきて
ずぶ濡れになる時がある。

ぐっと我慢して
全身が濡れたまま
立ち尽くす時がある。

傘をさすのでもなく
雨宿りをするのでもなく
雨がやんで晴れ間が見えるまで
そのままただ呆然と立ち尽くす。

表情をなくして口をつぐむ。

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家族との最も良い距離とは

「自分がいない方が良いのかな」

なんて。

心の中心から湧き出るものは
どううまく蓋をしても
隙間から湧き出る。

僕は考える時が多々ある。



家族と距離を詰める行為が
全てにおいて良いと判断してきた。
“家族”という形に
自分を変えて当てはめる行為が
両親にとっても、家族にとっても
それが良いと考えてきたからだ。

疑問が確実に芽生えた。
日に日にこの疑問は大きくなっている。

“家族”というものは
寄り添い暮らすものだと
僕は考えている。

しかし”家族とHIV”と考えた時に
果たして寄り添うべきなのか
僕は疑問に感じるのだ。

罪悪感を抱えながら
嘘の自分であり続けるのは安易でない。
体調が悪ければ悪い程
“できない”と強く実感する。

お互いにストレスを抱え
同居しても顔を合わせない
”隔離”した生活は意味があるのだろうか。

将来、僕と家族が
どういう形になるかはわからない。
あくまで今は経過に過ぎない。

今は将来の経過だったとしても
ベストでもベターでもない
気がして仕方ない。



HIV。僕。家族。闘病。療養。

もっと良い”形”があるのではないか。

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忘れてしまうのが怖いのだ

"一冊のノート"

先週だが上司から
一冊のノートをもらった。

名前の部分に
僕の名前が貼付けられている。
めくると違う名前の記載がある。

他の同僚に渡す予定だったものを
その同僚が辞職した為に
変わりに僕が受け取ったのだ。

忘れないように
業務内容を残しておくものだ。



手と感覚。

一度説明を受けると
手と感覚で仕事を憶える。
また同じ内容であっても
自分の手が憶えているのだ。

“あくまで今は”

今はいつも通りの感覚であっても
これからの副作用で
いつも通りの感覚では
なくなるかもしれない。

僕はそう感じている。
怖ささえある。

ノートを買って自宅で
業務内容を書き残している。
できるだけ細かく。

そこに仕事場でも
ノートをもらったのだ。
自宅と職場。
それぞれにノートがある。

自宅で記載したものをコピーして
職場のノートに貼付けている。



頭が真っ白になった時。
忘れた感覚を呼び戻すきっかけが
このノートであるはずだ。

使わないで済むように願いながら
“いざ”という時の為に
僕は日々書き残しているのだ。

自室の片隅に一冊。
職場に一冊。

ひっそりと大事なノートがある。
いざという時の僕の保険だ。

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プロフィール

ぽけんた

1982年生まれ、九州在住、HIV患者。2013年8月15日に〈いきなりエイズ〉を発症。闘病の記録と正直な気持ちを綴っています。見て頂いた方のお役に立てれば良いです。

服薬
【抗ウイルス薬】
ビクタルビ
【その他】
ネリゾナ軟膏
〔2023年1月現在〕
検査数値 (CD4・RNA)

〈2018〉
450ぐらい・検出値以下 (2/7)
〈2016〉
450ぐらい・29(5/25)
〈2015〉
369・検出値以下(6/8)
〈2014〉
269?・32(4/7)
169・20(3/10)
121・20(2/10)
〈2013〉
110ぐらい・74(12/16)
97・? (11/25)
81・460 (10/7)
155・4000 (9/13)
30・430000 (9/5)
48・? (8/15)
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