『通院と書いていますが
何の病気ですか?』

「肝臓の疾患です」

『慢性的なものでしょうか?
ウイルス性とかですか?
肝炎ですか?C型とか?』

「はい。C型肝炎です」

『ウイルスの治療中なのですか?』

「まだです。
今は月に一度の通院により
服薬しながら経過観察をしています」

闘病に関する話題になった。
僕はきっぱりと病名を伝えた。

相手がどう受け取るかは大事だ。
だが僕がどう判断するかも
同じく大事であるはずだ。

近い将来を見据えて
僕は”言う”という選択をした。



いよいよ面接が始まった。

書類を挟み二人の面接官と僕。
僕の書類には闘病の文字がある。
来るべき時は来るはず。
そして来るべき時は来た。
病気の内容についての問いがあった。

"HIVは言わずにC型肝炎を言う”

僕は僕の考えのもと
毅然とした態度で病名を伝えた。

昨日の診察で告げられた
これからの治療計画を考えると
C型肝炎は今日の面接で面接官に
伝えるべきだと考えていた。
だが自分の答えが肯定ができず
自問自答をぎりぎりまで繰り返した。

副作用がきついインターフェロン治療。
週に一度の通院の必要。
治療開始は早ければ今年中。

これからの治療予定を考えると
言わずに通院の理解を得るのは難しい。

となると僕は言うべき。
言うのであれば毅然と言うべき。
何を。病名を。

言おう。
言う。
言った。



確かな安心できる情報を伝え
不確かな不安を煽る情報は伏せる。
僕は病名を伝えた後
そこから何を言うか決めていた。


“確かな情報”

今は遠方の病院に通っているが
これから転院を得て
将来は最寄りの病院に通う予定である。
月に一度の通院も
後々は三ヶ月に一度になる。

“不確かな情報”

早ければ年末インターフェロン治療を
始めるかもしれない。
週に一度の通院になり
副作用が出る可能性がある。


伝えたい確かな情報を伝えた。
健常者と同等に働く為に
療養期間があったのも。
僕がこの仕事をしたいのも。



『最後に何か質問はありますか?』

最後の質問で僕は
面接の手応えを探るようにしている。

「私は是非
御社に入社したいと考えおります。
その上で入社するまでの期間に
私がすべき事があれば
教えて頂きたいのですが」

“帰りにカタログを受付でもらって
商品のラインナップを憶えて欲しい”

“体調管理をやっていて欲しい”

この二点の提示が面接官よりあった。

C型肝炎は伝えたものの
決して悪い雰囲気ではなかったと思う。

研修期間後に募集業務内容とは違う
配置転換あってもよいか問われた点。
研修期間後に正社員になるつもりであるか
面接官より質問を受けた点。
入社準備をご提示頂けた点。

もしかしたら・・・と
僕はどうしても楽観的に感じてしまう。
落ちた時の落胆が大きいだろうから
あまり期待はしないでおこう。

それでも、もしかしたら今回はと
ぱらぱらとカタログを眺めながら
僕は考えてしまう。



結果は来週。
来週中に合否の電話が
かかってくる。

面接が終ってしまっては
僕がどう感じようが
他人がどう思おうが

雇用主の”合”・”否”の
二択のどちらかだ。

もう待つしかない。待つしか。

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