去年の7月頃から
会っている人がいる。

当初は”いいな”
ぐらいの軽い気持ちであった。

しかしながら
最近は半月に一度程
お互いの無理のない程度に
定期的に会っている。

その度に僕は
僕の内側を確信している。



HIVは抗ウイルス薬の服薬により
血液から検出できない程に
HIVウイルスを抑え込む。

この体内の状態は
一般的に知られてないのだが
HIV患者自身が感染源として
なり得ないと言われている。

しかしながら
感染源にはなり得なくとも
自身がHIV感染をしている事実は
事実に変わりはないのだ。



白い紙に
十時線を描く。

上を◯とし、下を×とする。
また左を◯とし、右を×とする。
すると四つのグループができる。

”◯◯”、”◯×”、”×◯”、”××”

”伝えたいし伝えるべき”
”伝えたいが伝えるべきでない”
”伝えたくないが伝えるべき”
”伝えたくないし伝えるべきでない”

HIV感染者ゆえに
僕はどうこの問題を解くのだろうか
と最近は考える機会が増えた。
事実と自分の中の感情の狭間で
もがいて吐きそうになる。

HIV患者同士でも
相手に伝えるか否かは
実は意見が割れる。
一般人にはわかり得ない
感情であろう。

感染源になり得ないのだから
伝える必要はない。
何もかも人は恋人へでさえも
細かい内容を全て
相手には伝えないのだから。

といった患者がいる一方で

最初からHIVの事実を伝えて
離れていくものは
それまでの相手なのだから
それでも受け入れてくれる相手を
ふるいにかける。

という患者もいる。

どちらも正解であると
僕は感じている。

ただし
僕がどうHIVを解釈するかは
また別の問題である。



彼の顔
彼の声
彼の香り
彼の温かさ

若い時であれば
即座に行動していたが
今は一歩置いてから
行動している。

今と昔と
それぐらいの違いしかなく
本質的には変わらない。

家庭を持つという感覚がない
同性愛者だからこその
感情なのだろうか?

中年のおじさんが
これぐらいの問題で
何を手こずっているのだろうか。
もうそろそろ
理性で解決すべきだ。
と僕は僕を責める。

しかし
恋する気持ちは
止まらない。

いっそならば
気持ちを伝えた途端に
彼がそっけない態度で
僕から離れて行った方が
楽なのに。

『そんな気持ちにさせる気は
なかったんだ、ごめん』と

僕は本当に彼を求めていて
彼もまた僕の気持ちに
答えてくれるだろうと
実感しているからこそ

僕の理性と
ふつふつと湧き上がる
確信している感情との狭間で
僕は苦しいのだ。

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