これが僕のHIVとの生き方

2013年8月にエイズを発症したHIV患者の闘病記です。日々の生活と素直な気持ちを綴っています。

就職活動

かかってきた"採用"の連絡

受かった!
良かった!
採用になった!

これから社会に出る不安や
悲しい現実はあったけども
とりあえず今は喜ぼう。

やっと社会人としての
スタートラインに立てた。

本当によかった。本当に。



"0×××-××-××××”

朝電話が鳴った。
画面を見ると一般電話からだ。
僕はすぐに合否の電話だとわかった。

一息呑んで
心の準備をしてから
僕は電話に出た。

『◯◯さんでしょうか?
◯◯の◯◯と申します。
先日は面接ありがとうございました。
今お時間よろしいでしょうか?』

ありふれた挨拶を交わしながら
どうだろうかと不安をよそに
話を進めた。

『今回採用の運びとなりました。
早速ですが◯日から◯日の間に
来て欲しいのですが如何でしょうか』

担当者の問いに来週から働く旨を伝えた。
体調の最終調整をしたかったからだ。

『◯日の希望ですね。
こちらも調整したいので
また再度ご連絡します』

三時間程経って再度電話がきた。

当日の出社時間や場所。
持参物、書類等
担当者から細かく伝えられた。

お互いに宜しく御願いしますと
改めて挨拶をし電話を切った。



『弁当を必ず持参して下さい。
食堂は一応あるのですが…』

電話を切った後
担当者の歯切れの悪い指示が
僕は少し気になった。
その理由を考えすぐにわかった。


“食器を共有したくない”


肝炎患者とは社内で食器を
共有したくないからだ。
二次感染の可能性の為に。
それがほぼ無いとわかっていても。

肝炎を伝えて面接した。
肝炎を患ってても働かせてもらえる。

それでも越えられない壁がある。
仕方ないとしか言えないものもある。
色々言い分がこちらにもあるが
これは仕方ない。
ただただ仕方ない。
仕方ないと言うしかない。



やっと社会人としてのスタートラインに
立てたのが嬉しい。

“仕事”というカテゴリーを作って
ここに悩みを書けるのが嬉しい。

変わりたいと願って
変わろうと行動して
変わったのが嬉しい。

試用期間であって本採用になるか
それはわからないのだが
とりあえず嬉しい。



これからの治療の不安を抱える中
どう伝えるか時間をかけて僕は悩んだ。

これから辛い副作用が出るのも
それでも治療を進めなければならないのも
不安で不安でたまらなかった。

それでも社会に出るべきで
社会でどう生きればよいか
治療と仕事の両立がわからなかった。

何も変わらない現状と
自分の理想に挟まれて苦しんだ。

考え抜いた結果
HIVは言わずにC型肝炎を
毅然と相手に言った。

その結果
C型肝炎を患ってても
僕は採用された。

ひたすら考え抜いて
悩んで出した答えが一つ
実を結んだ今回の経験は
僕にとって貴重なものであるし
大変嬉しいものである。

試用期間が三ヶ月ある。
三ヶ月後にどうなるかはわからない。
僕がどう判断するかも。

ただ三ヶ月間は
一生懸命に働きたいと考えている。
何も無駄なものは考えずに。
今回の喜びを僕は噛み締めながら。



今日に至る迄、仕事に対する
応援や励まし、アドバイスを
沢山の方々から頂きました。

それらは僕が僕の判断を下す上で
大きい支えでありました。
各方々の僕に対する
思いやりに感謝しています。

ありがとうございました。

にほんブログ村 病気ブログへ にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへ

毅然と事実を言う面接

『通院と書いていますが
何の病気ですか?』

「肝臓の疾患です」

『慢性的なものでしょうか?
ウイルス性とかですか?
肝炎ですか?C型とか?』

「はい。C型肝炎です」

『ウイルスの治療中なのですか?』

「まだです。
今は月に一度の通院により
服薬しながら経過観察をしています」

闘病に関する話題になった。
僕はきっぱりと病名を伝えた。

相手がどう受け取るかは大事だ。
だが僕がどう判断するかも
同じく大事であるはずだ。

近い将来を見据えて
僕は”言う”という選択をした。



いよいよ面接が始まった。

書類を挟み二人の面接官と僕。
僕の書類には闘病の文字がある。
来るべき時は来るはず。
そして来るべき時は来た。
病気の内容についての問いがあった。

"HIVは言わずにC型肝炎を言う”

僕は僕の考えのもと
毅然とした態度で病名を伝えた。

昨日の診察で告げられた
これからの治療計画を考えると
C型肝炎は今日の面接で面接官に
伝えるべきだと考えていた。
だが自分の答えが肯定ができず
自問自答をぎりぎりまで繰り返した。

副作用がきついインターフェロン治療。
週に一度の通院の必要。
治療開始は早ければ今年中。

これからの治療予定を考えると
言わずに通院の理解を得るのは難しい。

となると僕は言うべき。
言うのであれば毅然と言うべき。
何を。病名を。

言おう。
言う。
言った。



確かな安心できる情報を伝え
不確かな不安を煽る情報は伏せる。
僕は病名を伝えた後
そこから何を言うか決めていた。


“確かな情報”

今は遠方の病院に通っているが
これから転院を得て
将来は最寄りの病院に通う予定である。
月に一度の通院も
後々は三ヶ月に一度になる。

“不確かな情報”

早ければ年末インターフェロン治療を
始めるかもしれない。
週に一度の通院になり
副作用が出る可能性がある。


伝えたい確かな情報を伝えた。
健常者と同等に働く為に
療養期間があったのも。
僕がこの仕事をしたいのも。



『最後に何か質問はありますか?』

最後の質問で僕は
面接の手応えを探るようにしている。

「私は是非
御社に入社したいと考えおります。
その上で入社するまでの期間に
私がすべき事があれば
教えて頂きたいのですが」

“帰りにカタログを受付でもらって
商品のラインナップを憶えて欲しい”

“体調管理をやっていて欲しい”

この二点の提示が面接官よりあった。

C型肝炎は伝えたものの
決して悪い雰囲気ではなかったと思う。

研修期間後に募集業務内容とは違う
配置転換あってもよいか問われた点。
研修期間後に正社員になるつもりであるか
面接官より質問を受けた点。
入社準備をご提示頂けた点。

もしかしたら・・・と
僕はどうしても楽観的に感じてしまう。
落ちた時の落胆が大きいだろうから
あまり期待はしないでおこう。

それでも、もしかしたら今回はと
ぱらぱらとカタログを眺めながら
僕は考えてしまう。



結果は来週。
来週中に合否の電話が
かかってくる。

面接が終ってしまっては
僕がどう感じようが
他人がどう思おうが

雇用主の”合”・”否”の
二択のどちらかだ。

もう待つしかない。待つしか。

にほんブログ村 病気ブログへ にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへ

まだ決まらない面接でつく嘘の内容

「どう面接で嘘つこうかな」

面接日はいよいよ明後日。

明日は通院で帰りが遅い為
面接で提出する書類を作成したり
何を言うか考えるのは今日までだ。

そんな準備の期日の今日になっても
僕は未だに面接時につく嘘の内容を
決めかねている。

どうHIVを隠していくのか。



“経過観察”

「肝臓の経過観察にしようか」
「肝炎の治療にしようか」
「血圧にしようか」
「肺炎予後の観察にしようか」

前回の面接の失敗を実感してから
"全く何も言わない"か
"それなりの理由を立てる"か
社会に出るにはどちらかが
必要であると気付いた。

離職してから空いた
長い期間を考慮すると
“それなりの理由を立てる”のが
懸命だと僕は考えている。

それなりの理由とは具体的に何か。

それを担当ソーシャルワーカーの方の
助言を元に僕は考えているが
一向に考えがまとまらない。
今ひとつ一歩踏み込む勇気が出ない。

考えがまとまろうがまとまるまいが
勇気が出ろうが出まいが
時間は有益でとうとう差し迫った。

残り時間はわずか。
それでも慎重に僕は決めなければ。



治療の進歩≠生活の安心

“ノットイコール”

見えない壁にぶつかる度に
僕はノットイコールのこの世界を
つくづく感じざるえない。

ケガをするような仕事ではない。
業務上で二次感染の可能性はほぼない。
感染症とHIVを分け隔てる必要はない。
HIVであっても業務に支障は出ない。

それでも

なぜ僕は面接でわざわざ嘘を
つかなければならないのだろうか。
嘘の内容を決めるのに
時間を浪費してそれでもなお
迷わなければならないのだろうか。
なぜHIVを患ったら
世界はノットイコールなのだろうか。

ノットイコール…
ノットイコール…
ノットイコール…

僕はいくらノットイコールを叫んでも
何一つ変わるものではなく
僕はその世界を受け入れるしかない。

僕がここで何を訴えも
目の前の世界は変わらない。

それを受け入れて
進むしか僕はないのだ。

一生懸命に嘘をつかねば生きられない
この世界はなんなのだろうか。

にほんブログ村 病気ブログへ にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへ

次回の面接時に何を言わないか

「来週の通院の次の日は
◯◯へ面接だったね」

閉め切った蒸し暑い車内で
母は僕に言った。
話はすぐに反れてカーナビに映る
テレビニュースの話題を
僕達は談笑した。

話題は二転三転反れた。
いくら運転して景色が切り替わっても
車内の空気が止まったままのように
僕の気持ちは相変わらず
面接の内容でいっぱいであった。



何を言うか。
何を言いたいか。
何を言わないか。



徐々に何を言うか決まりつつあるが
具体的にどこまで言うかは
まだ僕は決めかねている。
ただただ先送りにしてきた。

そんな面接日もいよいよ迫って来て
来週には面接を向かえる。

何を言いたいかはまとまりつつあるが
何を言わないのかがまだまとまらない。

いい加減に就職をしたいという焦りと
これで良いのか疑心暗鬼が混じると
なかなか決断を下せずにいる。

「何も言わないでいいんじゃない?
入ってしまえばいいんだし」

面接で不利になるような内容を
わざわざ提示しなくとも良いと言う母。
月に一度通院が必要になるのも
言わなくとも良いのではと。

確かにそれも一理あるのだろうが
僕はそれは何かしっくりこない。

月に一度の通院を
安心してできる環境にしたいし
通院に対して負い目を感じたくないからだ。
何よりも確実なものにしたいのだ。

そう強く考えれば考える程
面接時に言いたい内容が明確にならない。

何か言えるような疾患を立てて
それを雇用主に伝える。
具体的に何を言うか
今ひとつ言う勇気が出ず
僕は決めかねている。



"自己PR欄”

そろそろ書類を作らねばならない。
自己PR欄をまとめなければならない。

どうして僕は貴社に入りたいのか。
貴社でなければならないのか。
それでも貴社で働きたいのか。

伝えたい内容から
先にまとめようと僕は考えている。
二三日中にはまとめなければ。

ソーシャルワーカーの方に
前日の通院時に再度
知恵をかりるかどうか。

どうしようか。

にほんブログ村 病気ブログへ にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへ

将来の自分への自問自答

数日前、祖父の夢を見た。
正確には祖父の葬式の夢だ。

通夜で棺桶に横たわった祖父。
葬式で花を棺桶に入れるのだが
それぞれの手紙を花の茎部分に
付けて手向けるようにした。

手紙を花にどうつけるか
僕が考えるようになった。

そして葬式の当日
僕が考えた方法で
おのおのの花と手紙を
祖父に手向けた。



ばかげた話なのだが
僕は故人が夢に出て来た際
その故人が何を言いたいのか
都度解釈するようにしている。

ただ会いに来たり
お墓参りのお礼であったり
心配して見に来たり。
時には怒る場合もある。

先日は父の誕生日の夜に
祖父母が共に夢に出て来た。

僕は僕の解釈をした。
父に「おめでとう」と言いたいのだと。
素直に僕の解釈にそって
父に祖父母のおめでとうの一言を伝えた。



「何を怖がって迷ってるんだ。
自分の中で答えが出てるだろう?
夢が何か、自分の中で今まで
くすぶっていたのは何か
本当は自分が一番知っているだろう。
だったら自分を信じて進みなさい」

三日間、祖父の葬式の意味を考えた。
祖父がそう言ってるように
僕は感じて仕方ない。

ここに書いていない
夢の中の細かいディテールから
僕はそう感じるのだ。

トライアル制度を使って
試用期間を設け
三ヶ月まずは働いてから
結論を出すよう先日僕は決心した。

昨日から僕の判断はよかったのか
自問自答する時間が続く。

考えたところで答えは出ない。
目の前も見えない状態で
将来など見えるはずがないからだ。

まず考えるのは面接で何を言うかだ。
その壁を越えられたら
試用期間を懸命に果たす。
果たし終えた時にこれからの
将来を考えようと僕は思っている。
まず解決すべきは目先の壁からだ。

本心に沿って自分を信じる。
祖父から言われていると想うと
肩の力が僕は少し抜ける。

僕が進もうとする道は
間違いであっても
これもこれで良いのかもしれない。

ブログランキング・にほんブログ村へ
プロフィール

ぽけんた

1982年生まれ、九州在住、HIV患者。2013年8月15日に〈いきなりエイズ〉を発症。闘病の記録と正直な気持ちを綴っています。見て頂いた方のお役に立てれば良いです。

服薬
【抗ウイルス薬】
ゲンボイヤ
【その他】
レクサプロ・ベルソムラ・ロゼレム・オロパタジン・カロナール
〔2018年6月現在〕
検査数値 (CD4・RNA)

〈2018〉
450ぐらい・検出値以下 (2/7)
〈2016〉
450ぐらい・29(5/25)
〈2015〉
369・検出値以下(6/8)
〈2014〉
269?・32(4/7)
169・20(3/10)
121・20(2/10)
〈2013〉
110ぐらい・74(12/16)
97・? (11/25)
81・460 (10/7)
155・4000 (9/13)
30・430000 (9/5)
48・? (8/15)
ぼやき
更新状況
応援クリックが励みになります にほんブログ村 病気ブログ HIV・エイズへ
にほんブログ村
記事検索
リンク
【国立機構 九州医療センター】
kyusyu

【エイズ・ワーカーズ・福岡】aidswakazu

【コミュニティセンターhaco】haco

【ぷれいす東京】ptokyo234x60_02

【ジャンププラス】aidswakazu
承諾事項
商用目的、および商用と判断したコメントは、削除もしくは修正させて頂きます。ご了承下さい。
  • ライブドアブログ